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しろくまはケモノ 02

 同月20日06時16分

昨日は眠れぬ夜を過ごした。
カフェの常連客であった女性(以下A子)をバイトとして潜入させ、店長に誘いをかけてみせたのだ。

事前にリサーチしておいたシロクマの好みに、恐ろしく的確なタイプであるA子は、バイトが足りているにも関わらず面接したその日から働く事になり、僕の思惑以上に事は順調に進んだ。
A子はササコとは違う意味で健康的、そして明るく可愛らしいタイプの女性。肉食を刺激するらしい子供っぽいしぐさに大胆さを併せ持つ小悪魔でもある。
誘いはあくまで巧みに、それでいて「誘われている」とは思わせてはいけない。
結果、奴が自分からA子を誘わなくては試みの意味が無い。ビッチに食われるのではただの被害者だ。
誘う事に関して一流の彼女は、押しも引きも予想以上に巧く、そしてこれも順調に進んでいるかに思えた。

遅くなったバイトから僕の部屋に来たA子は、どこか余所余所しかった。
「どうだった?」の問いにも「ああ…うん」歯切れが悪い。
「動画は?ばっちり撮れた?」「ごめん、撮るの忘れちゃった」てへぺろ。直感で嘘だとわかった。
そして、そんな筈はない。その部分こそが、今回の仕事だからだ。忘れるなどと言う解り易く”僕にとってだけアンラッキー”な偶然が起こる筈が無い。きちんと”予定通りに遅れて帰って来てる”事にも説明がつかない。

忘れなくてはならない。のか?
思わず忘れるだけの事が起こったのか。或いは忘れる事を決心するだけの何かが起きたのか。

僕は「そうか、また今度頼むよ」とだけ言ってA子を帰した。

不慮の事態は想定して然るべき相手では、ある。
カメラを仕掛けるのは何も彼女だけでなく、潜入もそして録画もまた彼女だけではない。
僕はB子を呼び出した。

B子もまた、シロクマの好みに合致する魅力的な女性である。
A子とは違い、肉感を隠す気がないファッションに色気を総動員したメイク、イイオンナのプロである。
彼女をモノにしようと口説き玉砕した男子足るや星の数を凌駕するとまで言われ、口説かれる為に存在する女性でもある。
「3分で到着します」
外見の派手さと見事に裏腹に、内面は几帳面で乱れを許さない。
僕のスケジュールを分刻みで把握し、今日も僕に呼ばれる事を想定し予めこっちに向かっていたらしく本当に時間通りに到着し、いつもどおりの秘書然とした眉と口元で「お待ちしておりました」といつもどおりのセリフをB子は言った。

彼女はいつも僕を待っている。僕が彼女に待たされる事はない。
ただ、この日は、彼女もいつもと違っていた。

B子は、玄関のドアを後手で閉めると早口で「お叱りは後で受けます」とだけいい、僕を押し倒すと馬乗りになりジャケットを荒々しく脱ぎ捨て、ブラが薄く透ける自分のシャツの胸元に手をかけボタンを外していく。
彼女の頬は赤く上気し息も荒い。力み過ぎたのかボタンが幾つか弾け飛ぶ。こんなにも冷静さを欠く彼女を僕は見た事がない。
B子は「うんッ」とだけ唸って身をよじり、いつの間にショーツを脱いだのか愛液に塗れて光る陰毛を指で掻き分け、唖然と見守る僕を上目遣いで一瞥すると、それが何かの合図だったのか、未だ勃起していないペニスをぬるりと起用に咥え込んだ。
途端にガクリと頭を下げ、僕のシャツを両手で鷲掴み上半身を縮めるB子。
「ンッ!ゥンッッ!……っんぅッッー!」何かに耐えるように必死にぶるぶる震え、彼女の腰が跳ねる。
これまでに無いほど発情している様だ。挿れただけでアクメを迎えるにしても、こんな状態のペニスで刺激が充分だったとは思えない。
つまりここに来る随分前から絶頂の寸前だったのだろう。
B子は鉄の意志でここまで耐え、僕のペニスで絶頂する事を選び、実行した。これはプロの業を超えているのではないか。

B子はまだ震える声で「失礼いたしました」と耳元で囁き、身体を離すと、慣れた仕草でペニスをしごき口に咥えた。
僕は極限の技に直ぐ起立すると2度射精し、B子は全て受け止め羨ましくなるほど美味しそうに飲み干すと今度はベロリと舌を出し、見せ付けるようにペニスを舐め尽し最後はハンカチで拭うと丁寧に元通り仕舞い込んだ。
その見とれてしまうあまりの完璧な仕事っぷりに、B子が「所長」とキスが出来るほど近くで呼びかけるまで僕は時間を忘れていた。

「彼は危険です」

B子はそう言い1枚のDVDを僕に差し出す。今日のA子の働きが録画してあるDVDだ。
何がどう危険なのかB子は言わないが、恐らく先ほどまでのB子の乱れ方に関係している事だけは察しがついた。DVDをPCに差込み、再生する。

「ハァ!ハァ!ハァ!」

荒々しいA子の呼吸からそれは始まった・・・・・・。




続く⇒03
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